HSKという試験を知っていますか?
私は試験を受ける必要性がでるまで全く聞いたことがありませんでした
HSKは「日本と世界で一番受けられている中国語試験」として有名な中国語の運用能力を測る試験です。中国語の試験では有名なものが他にも「中国語検定」があります。
この2つの試験の大きな違いは一言で言えば「日本で使えるか、世界で使えるか」です。
日本企業が認知しているのが中国語検定で、中国政府お墨付きの世界で通用するのがHSKです。
HSKとTOEICの歴史(ここを読む)
私自身が少し気になったので調べてみました!HSKは1990年に初めて中国国内で実施されたようです。対してTOEICは1979年の12月に第1回テストが始まったようです
HSKの受験者の多くは、自分の中国語の実力を確かめるためか、中国へ留学するのに必要だから受験しているようです。
ちなみに私はまったく異なる事情で受験しました
【興味がある人へ】HSK3級を受けることになった経緯
それはズバリ!単位が出るから(=留年の危機だから)です。
詳しくは下の記事をどうぞ。読み物としても楽しめると思います。
どうして1週間なのか
これにはかなり個人的な事情が絡んでいます。
実はHSKの試験1週間前に国家公務員の2次試験を控えていたので、どうしても対策する時間が取れませんでした。というか、そのせいで存在をすっかり忘れていました…。
2次試験が終わってからようやくその存在に気づき、急遽対策を始めました。
ちなみにHSK3級が不合格だったら、留年確定でした。(笑えない)
【はじめに】初心者でもHSK3級をオススメする理由
初心者でも十分に手が届く難易度だから
これに尽きます。HSKは1級〜6級まで存在しています。
これを見ると1週間じゃ1、2級が限界では!?と思うのも無理はありません。しかし待ってください。
正直言って、実際の試験は級の説明に見合うほどの難易度がないのです笑
私たちは既に多くの漢字を知ってますし、1日ぐらいの勉強量で1級に挑んでもかなりの確率で合格できるはずです。
ですが勘違いして欲しくないのは「1週間で3級は楽勝」という訳では決してないです。
1週間で知識を詰め込むだけ詰め込んで武装した状態で挑めば、なんとか合格できるよ!と思っておくぐらいがちょうど良いです。
資格RTAをしたい人へ
RTAとはReal Time Attackを省略した言葉で、ゲームをスタートしてからクリアするまでの時間を競い合う競技のことです。
すなわち資格RTAとは、初見で対策をスタートしてから試験終了するまでの時間(ただし合格者に限る)とでも定義しておきましょう。
そういう変態的な遊びにHSK3級はうってつけです。
もし3日の対策で合格できた猛者がいたら「お問い合わせ」にコメントください。
あなたの勉強法をぜひ紹介したいのです。
【難易度】HSK3級はどのような試験なのか
公式HPには「中国語を使って、生活、学習、仕事等における基本的なコミュニケーションができる。中国旅行の時も大多数の場合において中国語で対応することができる」とあります。
合格者の私は断言します。「旅行どころか、コミュニケーションさえ無理無理」
もちろん、3ヶ月ほど真剣に取り組んだ合格者はイケるでしょうが、1週間の付け焼き刃で挑もうとしてる僕や皆様はこのような実力がつくことを期待してはいけませんよ!?
点数配分と概要
「聞き取り」「読解」「作文」の3つのパートに分かれており、配点はそれぞれ100点の合計300点です。合格基準は6割の180点です。「聞き取り」と「読解」はマークシート式で「作文」は記述式です。
学習目安として600語程度の常用単語と文法知識を習得している者を対象としています。大学の第二外国語における第二年度前期履修程度の学習が目安とされています。
【戦略の概要】まずはじっくり敵を見定めるべし
まず、少し怖い話からしておきます。
1週間でHSK3級に合格するには最効率の最適解を常に引き続けることが必要です。
だって、そもそも(大半がのんびりしてるけど)大学生が1年間勉強して受かるような試験です。点数に直結しない時間が少しでも多いと中々厳しい勝負でしょう。
私が特に何も参考にせず、独学で1週間で合格できたのは奇跡に近い話です。ですが、逆に言えば私が今から教える方法を丸パクリすればできないこともないんです。
問題を分析するのが初手
世の中にはいろいろな試験や資格がありますが、まずは敵(過去問)を知ることで合格までの最短ルートを測ることができます。
これは学生時代の試験を考えれば納得いくはずです。
初手が効かない試験!?(ここを読む)
過去問を見て最短ルートを考える初手が効かない試験が世の中には存在します。
そういう時の対処法はまた別の記事で紹介しますね。
そのためにまずは過去問を入手しましょう。
ただし購入するのは下で紹介している文法書1冊で十分です。
この参考書はHSK公認テキストであり、試験に出る文法を学ぶのに最適です。
しかも、巻末に過去問同等の模擬問題も収録しているので、別売りの過去問すら不要です。
1週間しかないので、過去問題集に手を出すと時間が足りません。
過去問からわかること
さっそく巻末の模擬問題を開いてみましょう。
そしてまず「聞き取り」のパートだけざっと目を通し、わかることは何か考えてみましょう。
次のようなことが分かればOKです。
「第一部分」は音声として流れてくる例文に適した画像を選択する問題だ。例文は短いので要所となる単語を聞き取れれば正解は選べそうだ。しかも例題を除く5問に対して共通の5択であるから、自信があるものを優先して解答していけば、迷っている問題も消去法で選びやすくなるはずだ。
「第二部分」は音声として流れてくる短文に対して、問題に書かれている文の正誤を判断する問題だ。同じく例文は短いので要所となる単語を聞き取り、問題文さえ読めれば解答するのは簡単そうだ。だって実質2択なのだから。
「第三部分」は音声として流れてくる会話形式の文に対して、1問につき3択から選ぶ問題だ。しかも、質問内容は聞き取る必要があるので難易度は高そうだ。ただし、選択肢の意味を理解することさえできればヒントとして生かせそうだ。
「第四部分」は「第三部分」より会話が長くなっており実質的な上位互換だろう。「第三部分」と大まかな方針は変わらなそうだ。
もちろん、私は試験を受けた後で分析をしていますから、考えつきやすいことも多いですが、上記の内容は初見でも十分に考察できるものをピックアップしました。
次に「読解」のパートも考察してみましょう。
「第一部分」は例題を除く5問に対して共通の5択だから、やはり消去法が有効そうだ。「聞き取り」の「第一部分」とかなり形式が似ているな。また、短文であるから要所となる単語さえ分かれば意外と解けそうだ。
「第二部分」は空欄に適切な語句を当てはめる問題か。同じく例題を除く5問に対して共通の5択だ。しかも文量の観点から見て、「第一部分」よりも簡単なのではないか?
「第三部分」は今までより文章量も選択肢も増え、なんなら設問数すら多いぞ?つまり、「第三部分」が解ける基準まで持ってこないと大きく失点することになりそうだ。
ここでわざわざ初見の状態で過去問分析をしていることには意味があります。ここで実感を伴って理解できた特徴は、この後、本格的な対策に入る際に「何が重要なのか」を示してくれます。
最後に「作文」のパートを見ていきましょう。
まず全部で10問しかないぞ!? 1問あたりの配点が多分10点で恐ろしいほどに重いな。
「第一部分」は並べ替え問題か。ただ、これを正確に解くためには文法の知識もしっかり備わっている必要がありそうだ。
「第二部分」は穴埋め問題だが、選択肢がない!つまりこれは実質的には暗記問題じゃないか。この空白になっている部分は文法上で何か共通の特徴は見られないのだろうか?
(例えば、全て品詞が名詞なら名詞のみを対策すれば済む)
さて、少しずつ全体像が見えてきました。
このことを前提にして、次からはどのような戦略を練るべきか考えていきます
【戦略①】合格のカギはリスニング
TOEICの時も似たような話をしましたね。
HSK3級でも、この傾向は変わりません。リスニングが最大の山場となります。
「聞き取り」で意識してほしいこと
私たちはすでに多くの漢字を知っているので、中国語を覚えて意味を理解することはさほど苦労しませんが、その漢字の読みと聞き取りに関してはゼロからスタートです。
ましてや初めて習う文法のもとに、音声を聞いてパパッと理解するのはハッキリ言って至難の業です。十分な訓練が必要です。
先ほどの「聞き取り」のパートで「第三部分」と「第四部分」は文として内容を理解できないと困ることが分かりましたね。
「聞き取り」の「第三部分」と「第四部分」は正確な理解を放棄する
思い切って捨てちゃいましょう。ここに十分な労力を割けるだけの時間が私たちにはありません。
そこでどうするかと言うと、文として理解するのを放棄し、単語単体で理解することを優先します。
「聞き取り」は知っている単語探しに全集中
ひとつひとつ丁寧に音声を聞き取ろうとすると、理解できなさすぎて頭がパンクします。流れてくる音声の中で知っている発音を聞き分ける方向へシフトチェンジしましょう。
これは以下で紹介するリスニング対策の中で、常に意識しておいて欲しいことです。「文全体を理解しようとせず、知っている単語を追い続ける」これがポイントとなります。
リスニング対策の方法
単語を覚えることとリスニング対策を同時並行で進めていくことが最効率です。
そのために、単語の意味を確認して、すぐにその発音を聞けるようなツールが欲しいところです。
つまり「アプリ」です。
当然試験に出るものでないと困るのでHSKの公式アプリを使うことをオススメします。
各級ごとに課金するシステムになっています。「1級」〜「3級」の分だけで十分です。
- 単語の「発音」と「意味」を覚える
- 例文の音声を何も見ない状態で聞き、少しでも多くの単語を聞き取る練習をする
この作業を空いてる時間を見つけて、ひたすら取り組みます。「600単語を1週間で」
絶望しないでください。無茶な作業量ですが1週間だけならできると信じましょう。
一応、救いになることを言えば、私は本番の日に5割も把握できていたか怪しいところでした。
電車に揺られながら必死に覚えていましたが、不安に駆られていたのを思い出します。
全てを覚え切る必要はありません。簡単な単語(1級〜2級)を中心に、3級は自分が自然と覚えやすかったもので勝負しましょう。
リスニング対策の前に
「発音」を覚える前に、発音がどのようなものなのか論理として理解できていると、解像度は抜群に上がるでしょう。
公認テキストのPart 1にて、中国の独特な声調「ピンイン」について分かりやすく解説してくれています。まずは、ここに目を通した後、単語暗記&リスニング学習を始めてください。
リスニングは最初、単語を追うのですら苦戦します。それは、文法を理解していないからです。
これから説明していきますが、学習するに従って、だんだんとできるようになるので初日から諦めないようにしてください。
【戦略②】読解は単語の例文でゴリ押し
読解の練習すらもアプリを使って、単語暗記、リスニング練習と同時並行で進めます。
ですが、文法を理解していないままでは読むことすら叶いません。
- 文法の学習はテキストを読み進めて理解する
- 文法の演習は単語アプリの例文の意味が分かるかで確かめる
文法の学習と演習すらも同時に進めてしまいましょう。
予想できる通り、最初がキツイです。文法が1ミリも分からないので。
リスニング対策を含めてアプリの使い方をまとめておきます。
- 単語の「発音」と「意味」を覚える
- 単語の例文を読んで、意味が理解できるか確かめる
- 例文の音声を何も見ない状態で聞き、少しでも多くの単語を聞き取る練習をする
「単語の暗記」「発音の暗記」「リスニングの演習」「読解の演習」を1つのアプリで同時並行して進めることができます。アプリバンザイ!!
もちろんテキストで「文法の学習」も怠らずにやりましょう。
【戦略③】 作文は文法の例文でゴリ押し
暗記と演習はアプリで勢いとノリのままにスピード感を持って進めていきましょう。
対して、骨格となる文法の学習は急ぎつつも丁寧に進めたいところです。
この文法の学習が、『作文』の対策となります。
「第一部分」に関しては、文法をどれほど正確に理解できているかが問われます。
つまり丁寧に学習してさえいれば、並べ替え問題なので解けるはずです。
問題は「第二部分」です。漢字で書ける必要性に困惑するでしょう。
もちろんアプリ学習に書く練習まで含める余裕はありません。ただでさえオーバーワークなのに。
「第二部分」に出題される漢字は文法に関連するもの(と信じたい)
「第二部分」の対策はテキストを用いた文法の学習と同時並行で進めます。
文法を実際に学習していくと分かりますが、文法でポイントとなる漢字がいくつか出てきます。
例えば、「除了」とか「根据」です。(テキストp104)
こういうのが狙われやすいです。
なので文法に関連する漢字が出てきたら実際に書いて練習してください。
ただ正直な話、文法に関連していない漢字も出題されます。こればかりは試験本番で神頼みする他ないです。ここが唯一の運ゲーポイントでしょう…。
【戦略の補足事項】概観と役立つ情報
最後に私から3つほど、役立つかもしれないことをお話ししておきます。
時間配分の目安
今まで解説してきたように、「アプリ学習」と「テキスト学習」を目的意識を持って取り組むことが戦略の全てです。重要なのは「目的意識を持って取り組むこと」ですよ。
さて、この2つの学習ですが、どちらを中心に進めるべきか迷う人も出てきます。
私は「テキスト学習」に最初、注力することをオススメします。「テキスト学習」で学んだ文法が「アプリ学習」の暗記を補助してくれるブースター的存在だからです。
なので「アプリ学習」と並行しつつも、3〜4日間で気合いでテキストを終わらせましょう。
その後は重要なポイントのみ1日1周のペースでテキストを復習してください。
そして「アプリ学習」を通じて復習&演習でブラッシュアップです。タイトすぎますね…笑
過去問演習はしなくていいのか
実際に試験問題でどのような解答戦略を練っていけばいいかはもう確かめたはずです。
過去問をする時間があったら、少しでも知識の吸収をしたい。私はそう思います。
「聞き取り」は単語ベースで全集中して、
「読解」は知っている文法と単語の知識でなんとか解き
「作文」は一部の運ゲーに向けて神様にお祈りをする
これに尽きます
ですが時間に余裕がある場合はもちろん取り組んだ方がいいです。
目標点数とかはあるか
イメージで言うと
「読解」は満点を狙い、「聞き取り」は半分以上、「作文」は神のみぞ知る
「読解」で大きな失点を作ったらゲームオーバーです。ただでさえ、もともと漢字を知っているのです。
試験中は「読解」全てが得点源という認識で丁寧に解きましょう。
対して苦戦するのは間違いなく「聞き取り」です。もはや博打のような感覚に近く、お伝えした通り命運を分けるのはリスニングの出来具合でしょう。
「作文」は何度も言いますが、「第二部分」の運ゲー感が否めません。もちろん「第一部分」は確実に点数を稼ぎ、「第二部分」は取れたらラッキーぐらいの感覚で挑みましょう。
【興味がある人へ】私の受験体験記
「これだけ無茶なことをして、徒労に終わるんじゃないか。」
人が無茶をしたときに求めるものは安心感です。
この体験記があなたに安心感を与えるでしょう。
私は一人で以上の戦略を、2次試験が終了した帰りの新幹線の中でじっくり考えていました。
いくつかサイトも回りましたが、1週間を主題にしているものなんて存在しませんでした笑
もともとテキストは購入していたので、アプリをダウンロードして早速学習を開始しました。
テキスト学習は結構楽しかったです。ただ2級や1級のテキスト内容が前提になっている気もしていて、自分なりに解釈をしつつ勉強することに不安もありました。
もっともしんどかったのはアプリ学習でしょう。ただでさえ量が多いのに加えて、「覚えられない」「聞き取れない」「意味が分からない」の3コンボ。
文法をだんだんと理解していき、慣れるまではしんどいはずです。ただ、諦めるわけにもいかず、自分で分析した内容を信じ、勉強しました。
試験前日の深夜すらテキストとアプリは終わらなかったです。3〜4日間でテキストを1周するように書きましたが、ぶっちゃけ理想論なところがあるでしょう笑
2次試験の解放感が強く、1日の学習時間も平均して2〜3時間だったのが祟りました。
試験当日の朝、試験会場に向かいながら電車の中で必死にアプリ学習をしていました。それまで学んだ文法を糧にだんだんと吸収できる能力が上がっている実感があったので悪あがきです。
そして試験開始し、まずは「聞き取り」の問題です。単語を聞き分ける練習は飽きるほど頑張ったので、部分部分何を言っているのかはなんとなくですが分かります。
「第三部分」と「第四部分」は絶望感が強いです。話が長いと何が重要なのか掴みづらくなります。
「読解」は本当に合っているのか不安もありますが、単語の意味を覚えているので、「聞き取り」に比べれば遥かに自信を持って取り組めました。
肝心の「作文」の「第二部分」ですが、文法関連のいくつか狙いをつけていた漢字がヒットしました。もちろん思いつけないものもありましたが、作戦が功を奏した感覚がありました。
そんなこんなで試験が終わり、結果が返ってきました。今更感もありますが私の試験結果は…
「聞き取り」:71 「読み取り」:96 「作文」:71 合計:238
まさかの割と余裕を持って合格。
試験終了直後は、「あ、落としたな」と思っていたのでかなり衝撃的でした。
どの点数も驚きです。
聞き取りは7割も絶対に聞き取ってないし、読み取りはほぼパーフェクトで読めていたのか!?
作文も7割の感触ではなかったはずでした。
ふむ。つまり?
試験本番は意外となんとかなる。「作文」は採点基準が甘い可能性もアリ
リスニングは明確に文の意味を理解していなくても、
読解は隅々まで文法を理解していなくても
作文は単語が漢字で書けなくても、いいのです。
合格ラインは6割なのだから「半分とちょっと」です。最効率を目指して勉強していけば、8割に匹敵する点数まで持っていける可能性を秘めているのです。
【おわりに】HSK3級に取り組んでみて
なかなか、1週間でHSK3級に挑戦しようとする人はいないでしょう笑
ですが、たとえ2週間、1ヶ月、3ヶ月、半年であろうとも、この記事から参考にできるメソッドはかなりあると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
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